TKE / MKE の原理
平均流と乱流変動を分けて、エネルギー密度として読む
MKEは平均速度ベクトルが持つ運動エネルギー、TKEは平均からの速度変動が持つ乱流運動エネルギーである。4D Flowの速度ベクトルだけでMKEは計算できるが、TKEにはボクセル内速度分散 σ の推定が必要になる。
Bayesian Multi-VENCは、平均速度 v と速度分散 σ を同時に推定できるため、TKE/MKEの基礎に直結する。
平均流と乱流変動を分けて、エネルギー密度として読む
MKEは平均速度ベクトルが持つ運動エネルギー、TKEは平均からの速度変動が持つ乱流運動エネルギーである。4D Flowの速度ベクトルだけでMKEは計算できるが、TKEにはボクセル内速度分散 σ の推定が必要になる。
Bayesian Multi-VENCは、平均速度 v と速度分散 σ を同時に推定できるため、TKE/MKEの基礎に直結する。


流体の速度は、平均成分 v と変動成分 v' に分けて考えられる。MKEは平均成分の運動エネルギー、TKEは変動成分の運動エネルギーである。
4D Flow MRIの通常出力は各ボクセルの平均速度ベクトルに近い。したがってMKEは比較的直接計算できる。一方、TKEにはボクセル内速度分布の幅、すなわちσの推定が必要になる。
| 指標 | 式の直感 | 主に反映するもの |
|---|---|---|
| MKE | ρ/2 |v|² | 平均流速、流量、整流jet |
| TKE | ρ/2 Σσi² | 乱流、速度分散、jet後流 |
| Flow | ∫ v·n dA | 断面を通過する体積流量 |
Bayesian multipoint velocity encodingでは、複素信号の振幅減衰からボクセル内速度分散σを推定する。TKEはこのσの二乗和に比例するため、σの小さな誤差がTKEに増幅される。
この性質により、TKEは高感度な病態指標になり得る一方、SNR低下、partial volume、wrap残り、CS正則化の影響を受けやすい。
| 誤差源 | TKEへの影響 | 確認方法 |
|---|---|---|
| SNR低下 | σ過大/不安定 | magnitudeとTKE hot spot比較 |
| partial volume | 壁近傍で偽高値 | 血管maskの収縮/拡張感度解析 |
| VENC不適合 | wrap残り・低VNR | VENC別phase確認 |
| CS過正則化 | σやpeakを平滑化 | λ/Temporal Scalingの感度解析 |
大動脈弁狭窄、人工弁、HOCMなどでは、jetや乱流後流が血管・心室内に生じる。Binterらの報告では、健常者に比べて弁狭窄や人工弁症例でTKEが高くなることが示されている。
HOCM関連の報告では、4D Flow MRIにより中隔焼灼後のTKE低下を評価しており、単なる最高流速ではなく血行動態負荷の変化を表す候補指標として位置づけられる。
| 疾患/場面 | TKEの意味 | 注意 |
|---|---|---|
| 弁狭窄 | jet後流の乱流負荷 | VENCと高速度域 |
| 人工弁 | 弁形状による乱流差 | 金属artifact |
| HOCM | LVOT obstruction由来の乱流負荷 | SAMやLVOT径との関係 |
| 門脈系 | 主役はflow/方向だが、複雑流評価に発展余地 | 低速・呼吸・SNR |
MKEは平均速度ベクトルから計算するため、整った高速jetでも高くなる。TKEが乱れを見るのに対し、MKEは平均流の力強さを表す。両者を並べると、速いが整った流れと、速くて乱れた流れを分けやすい。
WIP039ではWriteData設定によりTKE/MKE出力が制御されるため、どちらを出したか、どちらを解析対象にしたかを残す必要がある。
| 組み合わせ | 解釈 |
|---|---|
| MKE高・TKE低 | 速いが比較的整った流れ |
| MKE高・TKE高 | 高速jetと乱流が同居 |
| MKE低・TKE高 | 平均は遅いが局所混合やノイズの可能性 |
| MKE低・TKE低 | 静穏または低信号で評価不能 |
社内・ローカル根拠: WIP039 AdvFlow CS4D, Bayesian Velocity Unfolding, TKE, Compressed Sensing, ReCAR文献メモ、および名古屋大学訪問書き起こしから抽出した論点を統合。